そして風になる


目の前にまっすぐな一本の道がある。

ハンドルから手を放し、両手を後ろに広げ顔を三十度上に向けてペダルを漕ぐ。

そのまま空に向かって吸い込まれてゆく。

...そして風になる。

でもすぐにバランスを崩しそうになり慌てて前かがみになりハンドルを握り直してまたペダルを漕ぎ進んでゆく。

そしてまた空に向かう。

何度か繰り返しているうちに橋のたもとまで来てしまった。